ノウハウ

2014.10.17
    アウトソースのマネジメントできていますか? 第一回

    コンサルタント太田 達也

    • Facebookでシェアする
    • Twitterでシェアする
    • LINEでシェアする
    • メールでシェアする

    3PL や業務のアウトソースという言葉は既に一般に広く知れ渡っており、もはや珍しいものではなくなってきました。皆さんの会社でも実際に物流業務を 3PL に委託していたり、経理事務作業などをアウトソースしている、もしくは検討をしたことがあるということはあるのではないでしょうか。
    業務をアウトソースするという考え方は、自社のコアコンピタンスではない業務領域をその道のプロに委託することによって、自社のリソース負担を減らしつつも一定レベルのサービスレベルを享受するというものです。アウトソース業者は規模のメリットを活かして施設や IT システム、人材育成に投資を行っているため、一般的に自社リソースで対応するよりも高品質のサービスを低コストで実現することができ、委託側と受託側双方にとってメリットのある優れたビジネスモデルであるといえます。そのサービスの内容や規模も様々であり、年間数十億規模の物流サービスもあれば、月間数千円の ITサービスもあります。実際に弊社でも電子メールのアカウント管理などはアウトソースをしており非常に満足しております。

    このように優れた面の多い業務アウトソースですが、一方で一般に普及するにつれて課題も多く耳にするようになってきました。ここでは、その一部を紹介します。

    課題例① コストが不透明 コストが不透明
    「本当はもっと安くできるのではないだろうか?」、「非効率なことをやっているからこんなにコストが高くなっているのではないか?」、など、外部委託業者と付き合いが長くなってくるとコストの正当性について疑問や不信感が生まれてくることがあります。そんなとき業者の営業を呼んで説明を求めると、「委託契約で取り決めたやり方ですので・・」「プロフェッショナルが最も効率のよいやり方でやってますから・・」などという曖昧な回答しか返ってこないことがよくあります。問題は、こちら側の疑問も“何となく高い気がする”という曖昧なものであったり、専門家ではないという負い目から、それ以上の交渉ができずに、結局腑に落ちないままコストを払い続けるしかなくなるというケース
    です。

    課題例② 改善が進まない 改善が進まない
    ある業務範囲をまるごとアウトソースすると、その中の業務プロセスは自社の手を離れ次第にブラックボックス化していきます。するとその中に埋もれている改善機会点が見えにくくなったり、機会点があることが分かっても容易には対応してもらえなくなります。例えば、在庫管理含む出荷物流業務を委託しているとします。委託開始当初はシンプルだった業務プロセスも、取り扱い製品の種類が増えたり、国内だけでなく輸出入プロセスも増えたりしていく内に、非常に複雑になり重複する作業も増えてきているようです。一方で業者は取り扱い製品が増える度にその分人員を増強して対応しています。
    一般的に考えると、複雑な業務プロセスを整理統合して無駄をなくすことで人員コストを削減できそうだと思うのですが、指摘しようにも業務プロセスがブラックボックスなので具体的な改善ポイントを示すことができないし、仮にできたとしても「自社内のプロセスは最善を尽くしていますから」と言われて改善されないということが起こりえます。
    ※ もちろん、3PL や LLP(リード・ロジスティクス・プロバイダ)と呼ばれる会社の中には自社が気づかないような改善機会点を主体的に提案してくれるところもあると思いますので、全ての会社に当てはまるわけではありません。

    課題例③ 業者を変えられない 業者を変えられない
    一番厄介なのがこのパターンです。今の業者が少し時代遅れに感じ、最新技術を駆使した高品質低コストの業者に変更したいと思っていても、怖くてなかなか手をつけられないということが意外と見受けられます。
    特に長期に渡って契約している場合、日々の業務の中で蓄えられる経験やノウハウをその業者のみが保有する状態になり切替リスクが高まります。一方で、過去の経験や今の慣習にとらわれずにプロセスを定義し直そうとしても、長年アウトソースしていたがために自社内にはその領域のエキスパートはいなくなっており、新しい業者に何を依頼すればよいか定義できる人材がいないという状態になります。
    また情報システムについては、データフローや処理内容を正確に理解しておかないと切り替えた瞬間からトラブルが発生するリスクがあります。
    よって、長年依存してきた業者を切り替えるにはその業者から多大な協力を仰ぐ必要があり、多くの場合その協力はなかなか受け入れられません。

    以上のように、アウトソースを活用する場合には、自社が身軽になるメリットがある一方で、業者を正当に評価できなくなったりコントロールできなくなるリスクが存在します。このようなリスクを回避するためには、アウトソースする業務範囲の切り出し方や契約形態に加えて、情報のガバナンスという視点での注意点がいくつかあります。

    次回は、情報ガバナンスの例を中心にリスクへの対応策をご紹介したいと思います。

    コンサルタント太田 達也

    1995年外資系パッケージベンダー入社。生産管理及び計画領域を軸としたコンサルタントとして、グローバルSCMの構築や生産計画プロセスの改善などで実績を残す。2007年マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社に入社、大手外食チェーンの差プラチェーン改革、流通小売企業の全社経営改革など、クライアント企業の一員となってプロジェクトをリードするスタイルで活動。