ノウハウ

2014.10.17
    標準原価のもたらすもの

    コンサルタント中山 和治

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    今回は標準原価制度をしっかり定着させた経営管理とはどのようなものなのかをご紹介したいと思います。

    標準原価とは原価計算手法の話だけではなく、製造業における企業管理の基準作りになるということを、はじめに申し上げておきます。これをあてに経営の着地点を予想し、現在の状態から期末(月末)までにあとどれだけ利益が出るのかを確認し、経営という舵取りをしてゆく、と考えていただければと思います。

    具体的に標準原価精度による経営管理において、必要な準備、およびそれを利用した管理の視点などを下記に示します。

    準備
    ・各製品の原料構成(部材構成)に関する情報(何をどのくらい使用しているか)を原価部門と共有する。
    ・上記の情報に合わせて、原料単価情報(購買価格)を集め、製品ごとの原料費を算出する
    ・製品製造に掛かる製造時間情報を原料部門と共有する
    ・その時間を機械稼働の時間と人がかかわる時間に分類し、固定費(間接費)の内容ごと(労務費、減価償却費、用役費など)に、原価要因を明確にする。
    ・部門コストとしての時間単価を算出し、上記の時間をベースに製品毎にその間接費を割り出す

    このようにして、工場でかかるあらゆるコスト(予算コスト)を稼働予定時間や生産数量(予算数量)に対して割振り、製品の標準原価算出する

    つまり、その期の始まりに、Σ標準原価×各製品の生産数量 = 工場の総コスト

    となるようにする。さらに各現場の稼働時間も予定として算出されることになる。

    利用方法
    上記の様に標準原価の算出過程で、同時に以下の情報が得られる。
    ■ 各製品の販売予定数量
    ■ 各製品の生産予定数量および在庫レベル
    ■ 各現場の稼働予定
    ■ 各部門の労務費、減価償却費、用役費、その他間接費
    ■ 間接部門の費用全般と配賦基準、配賦金額
    ■ 原料の購入単価
    ■ 製品の構成品使用情報

    逆に言えば、これらが予め計画できることで、初めて標準原価を各製品毎に算出できるのである。
    以下に標準原価を得られた結果どのような成果を得られるか大まかにまとめてみた。

    ポイント1
    販売予定数量は各製品の売り単価を乗じることで、売上予算が立案できる。
    逆に、標準原価によって売上原価を算出できる。つまり販売計画によって、利益を算出することが可能になる。

    ポイント2
    もちろん期首(年初め)に想定した製品毎の販売計画や生産計画は、かなりおおざっぱである。しかしながら、直近 1 か月~3か月程度は何をいくつ売る予定かは明確になってくるであろう。その場合にも標準原価があることで、修正計画に対して、簡単にコスト計算が可能になる。

    ポイント3
    標準原価は原料価格の変動によってあてにならない数字になる。また予定外の固定資産取得や、人件費の増加によって大きく変動してしまう。
    そのような環境変化が起こった場合は速やかに、標準原価を修正し、その後の利益計画を見極める必要がある。
    逆に言えば、その算出ロジックがシステム化されていることによって、人件費の増加や固定資産の増加によってどれだけコストインパクトを持つか、シミュレーションすることが可能になる。つまり、その投資の有益/無益を判断する大きな手段を持つことになる。

    ポイント4
    稼働時間と生産量の関係や、販売数量と生産数量の関係、原料単価と不良率など、予算段階で想定したバランスと実際がどうなっているのかなど、工場の管理するポイントが明確になる。

    今回は非常に大きな視点でまとめましたが、経営は当初予定した利益を達成することが大きな目的の一つです。
    これを乖離する要因がどこにあるのか、この極点を見出し、修正するために何をしたらいいのか判断できる環境つくりが重要であるといえるでしょう。

    コンサルタント中山 和治

    外資系タイヤメーカーで、機械/作業研究、在庫保管場所設計、カンバン製造方式設計、工場内物流設計をなど社内コンサルティング担当。その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計を実施。1996年より外資系パッケージベンダにてSCMコンサルティングを実施。2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。取締役副社長に就任。