ノウハウ

2014.10.17
    製造業の企業管理システムについて

    コンサルタント中山 和治

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    企業がその活動の管理を行うということは、管理職が高い所からあぐらをかいて現場を見ているということではなく、何かが起こっていないか、または起ころうとしていないか、などを監視し、もし何か問題が起こっていたらすばやくそれを察知し、対処するためのアクションを取るという“活動”を行うことであるというのが弊社 MPC の定義です。

    この定義はいたってシンプルで、ひょっとしたら当たり前だと思われるかも知れません。
    しかし、これを行うには以下のような前提となる管理基盤の定義が必要になります。

    1.管理する焦点は何か?
    在庫を管理する、納期を管理する、原価差異を管理するなどで、管理項目ともいえるものの定義です。

    2.管理する対象は何か?
    在庫を各倉庫毎に管理する、納期を顧客別に管理する、原価差異を製造ライン毎に管理するなどの具体的な対象で、管理の切り口ともいえるものです。

    3.管理するための基準はどのくらいか?
    東京倉庫の在庫は“30日分”にする、顧客Aの納期遵守率は99%にする、Bラインの原価差異は、ゼロである、など具体的な数値を管理基準(値)とします。それより実際の値が多い少ないという事象から、良し悪しの判断をおこないます。

    4.管理基準と実際の差の認識はどのように行うのか?
    管理基準と実際の値が異なっていることを知る方法、知らせてくれる方法の定義、あるいはその担当は誰なのか、企業活動のさまざまな現象から問題をキャッチアップする方法を確立する必要があります。

    上記は企業がその個別の活動(販売活動、生産活動、購買活動など)を管理する際に絶対的に必要な定義になります。逆に言えばこれらが曖昧であるということは、管理が曖昧であるともいえるのではないでしょうか?残念ながら日本の多くの企業はこれらが本当に曖昧であるといわざるを得ません

    これらの管理基盤をしっかり定義するためには、必要不可欠なものがあります。それが業務管理システムです。

    ある程度の規模の企業であれば、このコンピュータシステムはすでに導入されています。
    たとえば、販売の受注・出荷はシステムへ登録している、出荷指示はシステムから出力される、発注したものの入庫はシステムへ入力。。。
    などです。しかし、これが先ほど挙げた管理基盤としてのシステムになっているかというとまだまだというのが実態です。

    その理由として
    1.コンピュータからの情報から何かを引き出して、能動的に管理するというプロセスではなく、報告が来て動き出す、受動的管理であることが多い。その意味でまだ情報システムへのそこまでのニーズがないということ。
    2.現場の実績をその都度入力しておらず、その日の終わりにまとめて実績入力する、といった習慣があり、システムの情報より電話やメールを使うスタイルから脱却できないということ。
    3.入力されたデータの集計方法が単なる一覧表になっており、どれが問題なのか目で追うしか問題を特定できない。それを特定する“目”がコツや経験であり、システム化していない。

    挙げいくときりがないのですが、現状システムにはいろいろ問題を抱えており、管理するためのシステムではなく、日々の業務を左から右へ流すためのシステムになっているといっても過言ではないでしょう

    元々日本企業は、情報システムに対して投資を行いマネジメントに活用するということが、企業戦略につながるという意識が少ない印象を受けます。

    それは
    ■ 経営層へのコンピュータシステムに関する理解度が薄く、依然として便利な贅沢品的な認識で、その価値が認められない(その価値を説明できていないという反面もある)

    ■ 販売力や、生産力に依存したシャカリキ経営が依然として前提になっており、管理パワー(管理力)が経営を牽引するという認識がないなどの背景があるのではないでしょうか。

    ちょっと考えてみてください。360億の売り上げを出す会社(日本では中小企業との位置づけだと思いますが、)は毎日1億円を売り上げるのです。毎日1億の売り上げ(出荷)を出すには、本当にさまざまな個別の活動があるでしょう。受注、出荷指示、製造指示、発注、それらに対する、出荷実績、製造実績、発注入庫実績、またそれに基づく原価計算や会計処理、想像しただけでもものすごいボリュームです。その中で何が起こっていて、どのようなことに対処しなければならないか?を探す活動は先にあげた管理基盤を前提とした管理システムが無ければ不可能でしょう。
    その意味で製造業における企業システムの必要性は非常に高いものであり、それを利用した管理活動の重要性は計り知れません。

    しかしながらそれができていないのであれば、管理が十分に出来ていないといえるのではないでしょうか。
    管理基盤を定義し、情報システムを活用し、目で見る管理を行うことが、複雑化した企業活動に対し、責任を持った管理をしてゆく事につながっていくと思います。

    毎日の夜帰宅する前に、やるべき仕事は全て無事に済んだ、と確信して帰れる責任者の方は、日本企業にどのくらいいるのでしょうか。

    コンサルタント中山 和治

    外資系タイヤメーカーで、機械/作業研究、在庫保管場所設計、カンバン製造方式設計、工場内物流設計をなど社内コンサルティング担当。その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計を実施。1996年より外資系パッケージベンダにてSCMコンサルティングを実施。2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。取締役副社長に就任。