ノウハウ

2014.10.17
    野球のチームプレイに隠された初歩的な管理方法とは

    コンサルタント中山 和治

    • Facebookでシェアする
    • Twitterでシェアする
    • LINEでシェアする
    • メールでシェアする

    みなさんの回りで、特に社会人の方は“何々管理”とう言葉をよく耳にすると思います。

    例えば“労務管理”“人材管理”“システム管理”など、みなさんの身の回りには“管理”という言葉があふれています。実は私も、以前はこの管理という言葉を聞くたびに、なんだかスッキリしない感覚を覚えたものでしたが、皆さんはどうでしょう? “何かを管理する”と聞いたとき、どのような活動/行動をイメージしますか?

    たぶん“見る”という行動は簡単にイメージ出来るかもしれません。

    例えば、「マンションの管理人さんはマンションの入口で出入りする人を見ている」というイメージが湧きます。またプール監視員(管理人)は、泳いでいる人たちに何か異常がないかを常に見ていますね。

    しかし、“管理する”ということが見るという単純な行動だけではないと言うことは、ばくぜんと分かるとは思いますが、それ以上の具体的なイメージはなかなか浮かんでこないのではないでしょうか。

    ちなみに広辞苑で“管理”という言葉を引くと、「よい状態を保つように処理する、物的設備の維持・管轄をなすこと」といったようにやはり具体的でない言葉で表現されています。

    私は製造業務に関してのコンサルティングをしていますので、業務の一環としてよく企業の中での管理という活動/行動を点検しますが、多くの日本人は、この“管理”という漠然とした言葉が理解できていないのが実情に思えます。

    私の経験では、管理のプロであるはずの管理職の人のほとんどが、管理するということについて聞くと具体的に説明できません。少し管理を知っている人ならば、「計画→実行→評価→対処」というサイクルのことくらいは言えますが、それを自分の身の回りの活動に置き換えると、ほとんどの人が説明できません。

    そこで、この“管理”という言葉を簡単に理解できて、しっかり管理できているかどうかが認識できる分かり安い例はないかと考えてみました。するといい例がありました。それはプロスポーツです。例えばプロ野球を例にとって説明しましょう。

    ジャイアンツとタイガースの試合で 0 対1ジャイアンツのリード、九回裏タイガースの攻撃でノーアウトランナー1塁、という場面を連想してください。ここで守っているジャイアンツ側の立場で考えてみましょう。こんな場面では、守備についている選手全員が次のプレーを想定しているはずです。相手選手が送りバントをした時はこう動く。盗塁ならこう。ヒットエンドランならこう。しかも送りバントでも1塁側、3塁側によって守る選手の動きが変わってきます。このようにジャイアンツの野手は、次のプレーで起こりうるとのすべてを全員が想定して、それが起こった瞬間には全員がそれに対処するために同じ目的に向かって動き出すはずです。

    例え ば、1塁側への送りバントをされたときは、まずは2塁に向かう走者を刺そう、もしそれが間に合わなければ1塁に走っている打者をアウトにする、などの一連の行為です。

    私がこの例から“管理する”ということも関連して申し上げたいのは、以下の点です。
    1.野手は全員次に起こるかもしれない相手の攻撃を想定できている。
    2.それが守っている9人全員の共通認識になっている。
    3.実際に攻撃側のなんらかのプレーが起こった瞬間に、9人全員が同じ認識で判断できる(全員が攻撃側のプレーが見えている)。
    4.その攻撃に関して、いくつかの対策が想定されている(まずは2塁、ダメなら次に1塁のアウトを取る)
    5.9人全員がその対策に対して活動を起こしている。例えば1塁への送りバントでも、内野手だけでなく、キャッチャー、外野手もすべて何らかのアクションを起こしている。
    6.その全員の対処から最低限1塁をアウトにするという結果が得られる。
    7.これらの守備陣形は、相手側のすべての攻撃パターンに対応して変わる。

    そして、これらの守備プレーは、練習の際に監督やコーチの指示によって守備のフォーメーションとして繰り返し練習されているわけです。ということはつまり、守備のフォーメーションは、実はベンチ陣の管理化におかれた行動であると言えるのです。
    ただし、エラーなど予期せぬことが起こるので実際のゲームでは、かならずしも練習通りの結果を生み出すとは限りませんが……。

    ここで、この野球の例を基に管理するという活動の要点をまとめてみましょう。
    1.何かが起こるであろうこと(通常は起こってほしくないことも含めて)を想定しておく。
    2.管理活動にかかわる人全員でそれを共通認識している。
    3.事実として起こったことを全員で認知できるようにする(一般社会ではこれが一番むずかしいのですが)。
    4.起こった事実(起こってほしくなかったことも含めて)の中から、対処すべきことがらを抽出する。※野球の例にはなかったのですが、プールの監視員は「常に泳いでいる人の中から、異常の状態の人を探している」といったような行為です。
    5.もし異常な状態が見つかった場合を想定して、その1つ1つの想定に対しての対処行動がフォーメーション フォーメーション化されている。
    6.対処すべきことがらが見つかったら、そのフォーメーションにしたがって関係者全員が決められた活動ができる。

    いったようなプロセスが考えられます。

    このように、一般の企業で何らかの管理に責任をもたれている方は、上記の“想定”“認識”、“抽出”“対処”“フォーメーション”について考えてみてください。管理の第一歩はここから始まるといえるからです。

    コンサルタント中山 和治

    外資系タイヤメーカーで、機械/作業研究、在庫保管場所設計、カンバン製造方式設計、工場内物流設計をなど社内コンサルティング担当。その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計を実施。1996年より外資系パッケージベンダにてSCMコンサルティングを実施。2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。取締役副社長に就任。