ノウハウ

2014.09.02
    IT ベンダー選定のコツ(その1)

    コンサルタント中山 和治

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    企業が何らかの業務システムを導入する際に、IT ベンダーへ委託してその構築および導入を行うケースが多いと思いますが、この IT ベンダーとのトラブルをよく耳にします。どちらが良い悪いではなく、期待の伝え方や、提案内容の確認の仕方の誤認識が多く、問題になることが多いと感じています。

    今回から2回に分けてITベンダーを選定するまでの作業を取り上げ、、コミュニケーショントラブルや、予算オーバー、または期待したシステムにならない、など問題を発生させないようにするために、IT ベンダーを選定する上で、注意する点について述べたいと思います。

    ポイントその1:企画段階の作業

    ITベンダーに委託する規模のシステムを導入する際には、ある程度の投資を覚悟されることと思いますが、その投資をするうえで、当然ながら信頼できる IT ベンダーを選びたいと思うことでしょう。しかしその一方で、システムを新しく構築するという経験は通常“無い”というのが当然です。
    どうやってベンダーを選んでよいのかわからない、という事で、インターネットでちょっとしたキーワードで出てきたホームページを見てすぐに連絡する、または何らかの展示会のブースで話をして名刺交換をした、その程度でベンダーを決めてしまい、期待と違っていたなどのトラブルに陥る話をよく耳にします。

    一重にITベンダーといってもその会社によって得意/不得意はありますし、またパッケージシステムを前提とした会社や手作りを基本としているなど、様々な特質があります。その特質はホームページや会話からは実態がみえてこないものです。

    また、すべてをITベンダーへ委託すると当然費用はかさみますし、実力や自社でなすべきことを認識せずに、部分的な委託をすると、作業漏れ、検討漏れが出て、システム稼働前にてんやわんやになることもあります。
    このようなことが起きないように、まず、社内である程度の企画/概算予算/フェーズ/スケジュールなど作成し、その中で、ベンダー選定までの作業を組み込んでおきましょう。

    主に以下の作業が考えられます。

    ・マスタプラン(企画書)の作成
    導入目的、現状の課題、システム導入の狙い、稼働時期、保守運用方針、概算コストなどのまとめ

    ・システム要求事項のまとめ
    導入目的などからどのようなシステム構想にするのか、また具体的なシステム機能を要求するのかを取りまとめます。またパッケージシステムにするのか、オーダーメイドにするのか、も重要なファクターとなります。

    ・ベンダーへ委託する方針(システムの方向性、契約形態、それに付随する条件面など)
    ベンダーを選ぶ際には、上記の要求事項に対する各ベンダーの得意/不得意がありますので、事前にそのベンダーについてよく情報を仕入れる必要があるでしょう。

    上記については最低ベンダーを選定する前に、社内である程度意思を固めておきましょう。そしてこれにはある程度の日程や体制が必要です。これもスケジュールに入れておきましょう。

    ポイントその2:要求事項をまとめる

    最終的なシステム仕様はベンダーのSEと一緒に打ち合わせなどしながら固めていくものですが、この段階では、ベンダー選定においてこちらが必要な提案を受けるために、先方に期待するシステムの骨格を伝えるために要求事項をまとめる必要があります。
    当然、これを提案してもらうベンダー各社へ渡すことになります。この段階で自社で骨格を作るということが、とても大切である理由を以下に簡単にまとめます。
    通常ITベンダーとは以下の通りフェーズ毎に最低2段階の契約になることが多いです。

    上記の契約1+2がプロジェクトでITベンダーに支払う合計費用になりますので、その概算金額について社内で承認をとるために、提案受理段階で概算の見積もりを得る必要があります。
    特に契約2は要件定義フェーズが終わった段階で確定するのですが、提案受理の段階でその金額が見えていれば、承認をもらった金額とずれないという意味で、社内でもめ事にならずに済むはずです。
    重要な事は、企画段階で大筋の要件を取りまとめられるかです。
    多くの場合、これを文字にしたり、絵にしたりというように要求事項をまとめるということは、非常に大変な作業ではあります。ここに経験のあるコンサルタントをうまく利用し、ITベンダーが大きな体制で集まる前に、社内で企画を取りまとめられれば、コストも大幅に削減できるのです。

    また、企業がパッケージを前提にシステム導入するのか、またオーダーメイド(手作り)システムで構築するのかによってその要求事項の細かさが変わってきます。

    ・オーダーメイドシステム(手作りシステム)の場合
    要求する機能をできるだけまとめ挙げておく必要があります。提案書を頂く際に、この機能の一覧が見積もりの主体であるからです。

    ・パッケージシステムの場合
    パッケージシステムはその標準機能の範囲であれば、少し要件から漏れていても、その機能でカバーできる可能性を持っています。後々気が付いた必要機能でも要求漏れがダイレクトに見積もりを挙げることにはならないでしょう。

    要求事項は次のフェーズの提案依頼書を発行する際に非常に重要な内容になり、またその作成には一定のノウハウが必要です。慎重に、ある程度の期間を割いて作業することをお勧めします。

    次回はその2として、提案依頼書、提案受理から、ベンダーを最終選定するまでのお話しをいたします。

    コンサルタント中山 和治

    外資系タイヤメーカーで、機械/作業研究、在庫保管場所設計、カンバン製造方式設計、工場内物流設計をなど社内コンサルティング担当。その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計を実施。1996年より外資系パッケージベンダにてSCMコンサルティングを実施。2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。取締役副社長に就任。